佐藤さん、田中さん、鈴木さんなど、
日本人の姓のなかで人数の多い順番は、
地域によって多少の差はあるが、
だいたいこんなところだろう。
日本各地からの人口の流入があった首都・東京では、
いちばん多いのが鈴木姓だという。
文字違いの寿寿木、須須木、涼木、薄などを加えればもっと増える。
日本人が全員名字をもつようになったのは明治維新後のことだが、
そのとき好きな名字を選んでいいといわれて、
鈴木を選んだ人が多かったという。
その鈴木姓を歴史をさかのぼって調べてみると、
最大の系統を誇っていたのが、
熊野発祥の穂積氏系統の鈴木一族だという。
熊野を本拠として熊野神社宮王子社の神官として発展してきた
一族だが、彼らの仕事が米づくりの神様をまつること。
しかも、本家である穂積という名が、稲穂を積んだという意味で、
この稲穂のことを熊野地方では
「ススキ・スズキ」
と呼び習わしていたところから鈴木の文字が
あてられるようになったと推測されている。
明治時代になって新しく名字をつけなくてはならなかったのは、
多くは農民だった。
そのとき、米の神様をつかさどっていた
神主さんにあやかって自分の名字とした人が、
それだけたくさんいたということなのだ。
全国の鈴木さん、「どこにでもある平凡な名前」と嘆かずに、
農耕民族として発展してきた大和民族、
つまり日本人の伝統を受け継ぐ名前だと誇りをもってほしいもの。
その態度が、ほかの鈴木氏とは違う印象になって、
「どこの鈴木さんでしたつけ?」
といわれることなどなくなるはずだ。
鈴木一朗ことイチロー選手は「鈴木」じゃなくて大成功したけれど。